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心理療法システム編
第6巻 認知行動療法
Cognitive-Behavior Therapy
ジャクリーン・B・パーソンズ博士
Jacqueline B. Persons, PhD

監修:S・マーフィ重松(東京大学助教授) 監修・翻訳:岩壁 茂(お茶の水女子大学助教授)
■VHS ■日本語字幕スーパー ■収録時間:40分 ■解説書付

■商品コード:VA-2006 ■¥48,600(税込)
認知行動療法は、うつ病の治療にとどまらず、自殺障害、不安・恐怖障害、性的機能障害、人格障害に至るまで様々な心理的問題に対する有効性がこれまで証明されてきた。北アメリカをはじめ多くの国においてその重要性は認知されている。しかし、行動認知療法に対して批判も根強く残っている。その中で最も多いのが、認知行動療法は、機械的にマニュアル化された介入をどのクライエントにも同じようなやり方で施すため、クライエントの人間性、人格が治療の対象とされる精神障害の症状の影に隠れて見えなくなり、心理療法において最も重要とされる人と人の対話が二次的になるという批判である。本テープに実演されるパーソンズ博士が実演する認知行動療法は、事例定式化(ケース・フォーミュレーション)を重視し、信頼と共感に基づいた治療関係におけるクライエントとセラピストの感情的つながりと問題解決を目標とする認知行動療法の技法のバランスをうまくとっている。

ジャクリーン・B・パーソンズ博士
(カリフォルニア大学サンフランシスコ校臨床準教授)
ジャクリーン・B・パーソンズ博士について

パーソンズ博士は、1972年シカゴ大学にて人類学士、1979年ペンシルバニア大学にて臨床心理学博士号を取得し、臨床家・研究者・教育者及び著述家として活躍している。また、カリフォルニア州オークランドにて心理学者として個人開業を営みながら、カリフォルニア大学サンフランシスコ校精神医学科の臨床準教授として臨床心理士と精神科医インターンの指導に当たるとともに、抑鬱や不安の内面にある認知プロセス、及び認知行動療法における事例定式化の研究を進めている。主な著書に、「Cognitive Therapy in Practice : A Case Formulation Approach(1989年ノートン社刊、日本語訳1993年金剛出版刊『実践的認知療法:事例定式化アプローチ』大野裕監訳)がある。



認知行動療法の概要

この心理療法アプローチは、事例定式化を標準的な認知・行動への介入方法を用いる指標として重視する。事例定式化とは、患者が自覚している顕在化した問題、患者の顕在化した問題の細部にわたる記述と患者の問題への反応や対処行動を稼動させ、維持する基底にある核となる確信(シューマ)についての仮説からなる。

私のとるアプローチの主要な特色を以下に挙げる。
@クライエントにより提示された心理的問題や症状を緩和、解決、除去することを第一の治療目的とし、認知行動療法士は、顕在化した問題を解決する上で治療結果が評価できるように、これらの問題を症状に変化がなければ成果を上げたと考えることはできないのである。

A臨床的問題に対し、積極的な問題解決型アプローチを採用する。
B過去ではなく、「今・ここで」に焦点を当てる。優れた認知行動療法家は、患者の家族歴や個人史に関する十分な情報を収集する。様々な意味でこの種の情報は重要だが、とりわけ、患者の事例定式化を行う上でとても重要である。過去の出来事を扱う事もあるが、それはあくまで患者が「今・ここで」体験してうる困難の解決を援助する文脈において行われる。
C患者・セラピスト間に協力的治療関係を築く。認知行動療法家が患者の問題を解決することはなく、あくまでセラピストの役割は、患者との共同作業のなかで患者が解決策をつくり出していくことを援助することである。
D実証的姿勢を保つ。実証的姿勢とはまず、目前の患者が提示する特定の問題にはどの治療アプローチが最も効果的かという結果研究に基づいて治療形態が選択されること、また、セラピストが一人一人の患者の治療に際し用いる概念や介入法の選択に関しても、実証された有効性の判断を重視することを意味する。
E認知と学習に関する諸理論を基本原理にする。心理的諸問題は、患者を取り巻く環境に起こる出来事(対人関係の出来事も含む)に誘発された行動・認識・感情が相互に絡み合って構成されるという枠組みから理解される。
F患者に宿題を課す。認知行動療法における宿題の役割は、セラピーは新たな知覚とその技術を習得するための学習の場であるという認知行動療法の考え方に基礎をおく。



クライエントの素性

■リサ
■年齢:29歳
■性別:女性
■人種:白人
■婚姻関係:独身
■教育歴:修士課程修了・広報宣伝専攻
■職業:宣伝部門マネージャー
■両親:父母ともに健在
■兄弟姉妹:姉一人



関連する出来事

リサはひと月ほど前にめまいと立ちくらみを訴えて、保険会社の指定する医師のもとを訪れた。彼女は紹介されたパーソンズ博士に、仕事場での社交行事を避けるようになってきていると伝え、面接の予約をとった。

その5週間ほど前、全米広告協会サンフランシスコ地域支部受賞祝賀会にリサは参加した。彼女の上司、アンドレアはその協会の地域支部長で、祝賀会の司会進行役を担うことになっており、開会の辞、来賓紹介、受賞者発表、閉会の辞などを行う予定だった。

リサが祝賀会場のホテルのロビーに到着すると、アンドレアの秘書がとても慌てて気が動転した様子でリサのところに駆け寄ってきた。祝賀会場に向かう途中、ちょっとした交通事故に巻き込まれたアンドレアは、病院の緊急治療室から秘書に電話を入れ、リサが彼女の代役として祝賀会の司会進行役をこなすように指示していたのだった。この話を聞いた瞬間、リサは吐いてしまいそうになった。「アンドレアが事故に遭ったからじゃなくて」、「司会進行役としてステージに上がって、しかも何の準備もなしにその役をこなさなければならなかったから。」と彼女はパーソンズ博士に語り、さらにこんな考えが浮かんだと話した。「私がやらなければいけないのだろうけど、でも私にはできない。こんな事になるなんて話聞いていないし、いったいどうすればいいんだろう。着ている服だってふさわしくないし。ああ、もういったい私はどうなるというの。」彼女は、ドアから駆け出しその場を逃げ出したくなるような衝動に駆られたと博士に伝えた。

うまく役を果たさなければ、自分の職を失うことになるかもしれないと考え、トイレに行き、冷たい水で顔を洗い、化粧を直し、祝賀会場へと向かった。その時の様子を博士にこう語った、「ステージ上の演題に向かっていくと会場全体が自分に迫ってくるようだった。息苦しくなって、周囲の音も全く聞こえてなかった、でも、自分ではしっかりと落ち着けと言い聞かせました。」「ステージへの階段を昇り、多くの人々を前にしてマイクを手に取るまで、自分が持てる全ての力を振り絞っていました。」その次のことで彼女が思い出せるのは、控え室の簡易ベッドの上に横たわり、何人かに顔をあおがれながら、「大丈夫?」と聞かれている光景だった。彼女はステージで気を失って倒れたのだった。

リサは仕事では常に優秀であり、自分の出世の早さは彼女にとっての誇りだった。半年程前には新製品の最優秀広告効果賞を社内で受け、取締役らの前で表彰され、賞金ももらった。そこでアンドレアは彼女の広告キャンペーンを全米宣伝協会地方支部の次回大賞受賞候補に推薦した。彼女は何週間もその新製品の発売に従事し、競合商品の内容・背景をつぶさに調べ上げた。マーケットリサーチも完璧に行い、新商品のターゲット顧客層についても十分な知識を得ていた。そうして、「洗練され、上品で、かなり効果的」な販売促進戦略を市場開発チームのスタッフと共に仕上げたのだった。彼女はこの時のことを「商品と、その商品が持つ潜在的可能性も全て知り尽くしていました」と語った。宣伝プロジェクトを指揮・実行し、際立った大きな成功を収めたのはこのケースがはじめてではなく、彼女は自分のことを「仕事ではとっても素晴らしい人材」と思っていた。



これまでの面接の経緯

初回面接


最初の面接でパーソンズ博士は、まずリサの問題をよく知ることに時間を割き、次に二人が納得できるようなやり方で問題の理解を深め、治療方法を定めていった。彼女は身体ではなく、心理学的な問題があることを自覚していると明言することができた。博士は、彼女の問題はパニック症状を伴う社会恐怖のようだと指摘し、さらに、不安感を誘発する状況下に自分をさらすことによって、失敗することや嘲笑を受けることに対する恐怖、人前でスピーチすることへの不安などを克服するための有効手段となるだろうと説明した。

続いて博士は、セラピーが問題解決志向であり、彼女が積極的に取り組みさえすれば、彼女の問題は十分解決しうるものだと話し、次回面接までの宿題として「恥ずかしくてたまらない(Dying of Embarrasement:社会恐怖のセルフヘルプ書)」というタイトルの本を与え、第1、2章までを呼んでおくよう指示を与えた。



第2回面接

パーソンズ博士は、この1週間どうだったか、宿題はできたか、そして今日の面接の主題は何にしようか、とリサにたずねるところから面接を始め、彼女は宿題になっていた章を読み終えたこと、その本が自分にとって役に立ったことを告げた。この日の面接で扱う『アジェンダ(議事事項)』が特に彼女に浮かばなかったので、博士はセラピーにおける『アジェンダ』という概念について説明し、治療過程で彼女自身が積極的に関わるやり方を示した。そして自分のアジェンダを提示した。それは、彼女の個人史に関する十分な情報を得ることで、彼女はこれに合意し、その日の面接のほとんどが彼女の生い立ちや家族の話に費やされた。

面接の終わりに、博士は認知パターンがいかに彼女の問題に関わっているかということをごく簡単に説明した。また、彼女の人前でのスピーチへの不安感の原因となっている基底確信についての仮説も立てた(「私には要求度が高い対人関係、とりわけスピーチをする状況をどうすることもできない」という思い込み、また「私はそんな状況だといつもミスを犯して、恥ずかしい姿をさらし、見捨てられる」)。さらにリラクゼーション訓練の大切さについて説明したあと、リラックス用のテープを渡し、来週までに何度かテープを聞き、また本も読み進めておくように指導した。



第3回面接

パーソンズ博士は、この1週間どうだったか、宿題はできたか、そして今日の面接のアジェンダは何にしようか、とリサにたずねることから面接を始めた。テープを聞き、本も読んだ、と彼女は告げたが、特にその日の面接でのアジェンダは思いつかなかった。博士は、人前で話す状況の数々を恐怖の度合いの強い順に並べる階層表をこの日の面接でつくってみてはどうかと提案し、彼女はこれに同意した。宿題として、この日作った階層表で、恐怖度最大100のうち、比較的低い20と評定された状況での人と話すことに挑戦してみることになった。緊張・恐怖度20とは、その後1週間に行われる定例業務ミーティングが始まる前、毎回2分間以上、同僚とたわいないお喋りをすることだった。



第4回面接

ビデオに収録



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